米国特許実務ノート



【早期審査】

 各特許出願は通常それぞれの審査部門において順番通りに審査されますが(37 CFR 1.102(a))、例外的に他の出願よりも優先して審査を受けることができる場合があります。これまでは、審査を早めるための請願書(petition to make special)とともに、事情に応じて費用や先行技術サーチを提出することになっていましたが、制度改正により、一部の例外を除いて厳しい要件が課せられるようになりました。

(1)出願人の年齢または健康を理由とする早期審査

 出願人の年齢が65歳以上であること、または、出願人の健康を理由とする場合には、従前通りの条件で請願書を提出することができます。いずれの場合も証拠が必要ですが、費用は必要ありません(37 CFR 1.102(c)(1), MPEP §708.02)。


(2)特許審査ハイウェイに基づく早期審査

 特許審査ハイウェイ(PPH:Patent Prosecution Highway)を利用する場合には、通常の出願よりも優先して審査を受けることができます。特許審査ハイウェイとは、外国での早期権利取得を支援するための特許庁間の国際審査協力の枠組みです。
 日本国特許庁と米国特許商標庁は、2006年7月3日からの施行プログラムを経て、2008年1月4日から日米特許審査ハイウェイの本格実施をしています。本制度を利用することにより、日本で特許された出願がある場合に、その日本出願と同じ対象の米国出願について早期審査を受けることができます。必要な条件は以下の通りです。

(a) 特許可能と判断された日本出願を先の出願とする優先権主張等を伴うこと
(b) 日本出願の特許可能な請求項のコピー、その英訳および英訳が正確である旨のステートメント
(c) 日本出願の特許可能な請求項に十分に対応すること(対応表が必要)
(d) 早期審査の申出(Request for Participation in PPH Program)
(e) 最新の拒絶理由通知書のコピーと、その英訳および英訳が正確である旨のステートメント
(f) 日本の審査官に引用された文献を列挙したIDS

 なお、早期審査の申出および全ての関係書類は、EFS−Webを通して提出され、"PPH.REQUEST"とインデックスが付されている必要があります。


(3)改訂早期審査制度(Revised Accelerated Examination Program)

 上述の(1)または(2)に該当する場合を除き、2006年8月25日以降の出願に対しては改訂早期審査制度が適用されます。この改訂早期審査制度は、12ヶ月以内に審査を完了させることを目的としたもので、以下の要件が必要になります(MPEP §708.02(a))。要件を満たさない場合、出願人は補完する機会を一度だけ与えられます。この補完のための期間は1ヶ月間だけで、延長することはできません。

(A) 請願書および費用(37 CFR 1.17(h)
 ただし、環境品質の向上、エネルギー資源の開発や保護、テロ対抗のための発明についてはその旨のステートメントを提出すれば費用は必要ありません(37 CFR 1.102(c)(2), MPEP §708.02(a))。
(B) 再発行出願ではないこと
(C) EFS−Webにより手続がされたこと
(D) 出願時に全ての書面および費用が提出されていること
(E) 独立クレーム数が3以下、総クレーム数が20以下であること
(E) 発明の単一性を有し、または、否認せずに一発明を選択することに合意すること
(G) 審査過程で審査官とのインタビューに応じることに合意すること
(H) 審査前サーチを行った旨のステートメントを提出すること
(I) 早期審査サポート書面(Accelerated Examination Support Document)を提出すること

 本制度を利用した場合、拒絶通知に対する応答期間は1ヶ月で、延長することはできません。期間内に応答しなかった場合には放棄されたものとなります。また、許可通知が発送された場合には1ヶ月以内に発行料を納付しなければなりません。ただし、3ヶ月以内に納付すれば放棄されたものとはなりません。


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