米国特許実務ノート



【先の出願の利益(優先権)を主張する出願】

 優先権とは、他国でされた先の出願(第1国出願)をした後に優先権を伴って後の出願(第2国出願)をした場合に、第2国出願に対して第1国出願時に出願したのと同様の取り扱いを認める権利です。米国はパリ条約の同盟国ですので、他の同盟国でされた先の出願から1年以内に優先権主張を伴って米国に特許出願することができます(Paris Conv. Art. 4, 35 U.S.C. 119(a))。また、先の出願の出願国(優先権主張の基礎となる国)として、世界貿易機関(World Trade Organization; WTO)加盟国が1999年法改正により追加されています(35 U.S.C. 119(a))。

 この優先権による利益を受けるためには、先の出願の出願番号、出願国および出願日を特定した優先権主張(claim)を、米国出願日から4ヶ月または最初の出願日から16ヶ月のいずれか遅いときまでにしておく必要があります(35 U.S.C. 119(b)(1), 37 CFR 1.55(a)(1)(i))。この時期的制限は1999年法改正による出願公開制度導入に伴って設けられたものです。

 また、先の出願の内容を証明するために優先権証明書(出願書類の謄本 : Certified Copy of the Foreign Application)を提出することになっています(35 U.S.C. 119(b)(3), 37 CFR 1.55(a)(2))。但し、優先権証明書の英語訳は要求されない限り提出する必要はありません(37 CFR 1.55(a)(4))。

 さらに、優先権主張および優先権証明書は、遅くとも特許が許可されるまでに提出しなければなりません。これらを発行料(issue fee)支払い後に提出する場合には手数料(processing fee: $130 (37 CFR 1.17(i)))が必要であり、さらに訂正証明書(certificate of correction)によらなければ優先権主張は反映されません(37 CFR 1.55(a)(2))。

 なお、この優先権主張が認められても単純に米国出願時が遡るわけではありません。例えば、35 U.S.C. 102(b)では"prior to the date of the application for patent in the United States"とありますので、実際に米国に出願した日が基準とされ、第1国出願の日は基準とはされません。また、35 U.S.C. 102(e)では、審査対象としての出願が優先権主張を伴う場合には拒絶を回避するために第1国出願時点で米国出願したのと同等の取り扱いを受けることができますが、逆に先行技術として他人の出願を拒絶する場合には"filed in the United States"とありますので実際に米国に出願した日が基準となります。これら102条関連の説明は新規性の項を参照して下さい。



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